砥粒について
● 砥粒 ダイヤモンドは天然ダイヤモンド(ND)と合成(人造)ダイヤモンド(SD)がありますが、砥粒に使用されるものは合成ダイヤモンドが一般的です。合成ダイヤモンドとは人工的に作られたもので、天然ダイヤモンドに比べ安価になります(小さなものに限ります)。 また、レジンボンドなどの砥粒との結合力が弱い結合剤を使用する場合、砥粒に金属をコーティングし結合力を高めた砥粒が使用されます。 これを金属被覆合成ダイヤモンド(SDC)と呼びます。 金属をコーティングするのは結合力を高めるためだけではなく、熱伝導率の高い金属をコーティングすることで、砥粒にかかる熱によるダメージを軽減する効果もあります。 ● 熱的性質 ダイヤモンドは熱に弱いという性質があり、600℃以上で黒鉛化してしまいます。被削材と砥石の接触点では1,000℃近くまで上がるそうなので、研削液による冷却は必須になります。 ● 破砕性 合成ダイヤモンドを使用するのは、上記の安価であるという理由もありますが、破砕性をコントロールできる点にあります。破砕性とは壊れやすさのことですが、セラミックスの中でも硬度の高い材料を加工する場合、破砕性の良い砥粒を使用することで、摩耗して削れなくなった砥粒は負荷がかかり壊れやすくなります。壊れた砥粒は再びシャープなエッジが出来るため切れ味が持続する効果が得られると言うわけです。 ● その他の砥粒 ダイヤモンド以外の砥粒として代表的なものは、WA(白色アルミナ)、A(褐色アルミナ)、GC(緑色炭化ケイ素)、 CBN(立方晶窒化ホウ素)などがあります。ダイヤモンドやCBN以外の砥粒は一般砥粒と呼ばれ、ダイヤモンドとCBNは超砥粒と呼ばれることもあります。上述の通りセラミックス加工ではダイヤモンド砥粒を使用することが多いですが、ラッピングなどの仕上げ加工では、一般砥粒が使用されることもあります。 ● 砥石の粒度 粒度は砥粒の大きさを表すもので「#120」のように表します。「#」の後の番号が小さい方が砥粒径が大きくなります。 粒径は「16/粒度」でおおよその値を出すことができます。 粒径の大きい砥粒では、砥粒の突き出し量が大きいので、切り屑の排出性に優れていますが、砥粒ー粒当たりの切込量が大きくなるので、破壊靭性値の低い材料ではチッピングが出やすく、面状態が粗くなります。 逆に粒径の小さな砥粒は、砥粒の突き出し量が小さいので目詰まりしやすいですが、砥粒ー粒当たりの切込量が小さいので、破壊靭性値の低い材料でもチッピングが出にくい傾向にあり、面状態も良好になります。 被削材や結合剤の種類にもよりますが、セラミックス加工で は#80~#400程度が一般的に使用されます。 ● 集中度 集中度は結合剤中にどれだけの砥粒が含まれるかを表します。 25〜200の25刻みの数値で表され、数値が大きい方が集中度が高くなります。 「集中度 / 4」で砥粒の含有率が出せます。 集中度100なら「100 / 4」で砥粒の含有率は25%になります。 集中度は砥粒の数ではなく、体積比になります。